【全体像】2025年確定拠出年金制度改正 ― 6つの改正ポイントを解説
2025年6月13日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」が成立・公布されました。この改正法には、確定拠出年金(DC・iDeCo)に関する重要な改正事項が含まれており、2026年4月〜12月にかけて順次施行されます。
本記事では改正の全体像を解説します。
なぜ今、制度改正が必要だったのか
確定拠出年金制度が創設されて20年以上が経過しました。この間、働き方の多様化・人口構造の変化・老後の長寿化など、社会環境は大きく変わっています。特に以下の課題が指摘されてきました。
- iDeCoの拠出限度額が低すぎる:会社員(第2号被保険者)のiDeCo上限は最大月2.3万円で、自営業者(月6.8万円)と比べて大きく見劣りし、不公平感がありました。
- 加入できる年齢が低すぎる:65歳未満という上限が、定年延長・再雇用が進む現代の就労実態と乖離していました。
- 中小企業にとって手続きが煩雑:企業型DCを導入したい中小企業でも、手続きの複雑さが壁になっていました。
こうした課題を解決するために、社会保障審議会 企業年金・個人年金部会での2年以上の審議を経て、今回の改正が実現しました。
6つの改正ポイント一覧
| 改正項目 | 改正の概要 | 施行日 |
|---|---|---|
| ①簡易型DCの廃止・統合 | 中小企業向け「簡易型DC」を通常の企業型DCに統合し、手続きを一本化 | 2026年4月1日 |
| ②マッチング拠出の上限撤廃 | 「加入者掛金は事業主掛金を超えてはならない」という制限を廃止 | 2026年4月1日 |
| ③自動移換の説明時期変更 | 退職予定者への説明義務を「資格喪失時」→「資格喪失が見込まれるとき」に前倒し | 2026年4月1日 |
| ④中小事業主掛金届出の簡素化 | 届出先を厚労省・国基連の二重から「国基連のみ」に一元化 | 2026年4月1日 |
| ⑤iDeCo加入可能年齢の引き上げ | 60歳以上70歳未満の国民年金被保険者以外でも加入可能に | 2026年12月1日 |
| ⑥拠出限度額の引き上げ | 第2号を月6.2万円に統一、第1号を月7.5万円に引き上げ | 2026年12月1日 |
2026年4月1日施行の改正(企業型DC関連)
①〜④の4項目は2026年4月1日から施行されます。企業型DCを運営する事業主・加入者に影響する内容が中心です。特に②マッチング拠出の上限撤廃は、従業員が自分でより多くの資金を老後に向けて積み立てられるようになる点で重要な改正です。
詳細は別記事「マッチング拠出上限撤廃と簡易型DC廃止(2026年4月施行)」で解説しています。
2026年12月1日施行の改正(iDeCo関連)
⑤iDeCo加入可能年齢の拡大と⑥拠出限度額の引き上げは2026年12月1日から施行されます。これはiDeCo加入者・検討者にとって非常に大きなインパクトを持つ改正です。
会社員のiDeCo拠出限度額が月2万円前後から最大月6.2万円へと大幅に引き上げられることで、iDeCoの節税メリットが格段に大きくなります。
関係法令・参考資料
次回以降の記事では、各改正項目を詳しく解説していきます。
